三沢人『File_No.004_佐々木和枝さん】笑顔で食べてくれる人がいるから一生懸命になれる

三沢市出身48歳。農業経営者。
農産物の生産から加工品づくり、惣菜店「ベジキッチンまいまい」で販売も手掛ける。
佐々木 和枝

“こんなもの”と言われるものを使って
   おいしくて体にいいものを作りたい

489A1382頭を垂れた稲穂が田んぼを黄金色に変え、畔や土手のすすきがゆっくり揺れる頃、大津にある作業場からは、一日中稼働音が響き渡ります。
 
大きな精米機を巧みに操り、手際よく作業を進めているのが、佐々木和枝さんです。


5人姉妹の長女として生まれた和枝さんは、農業で忙しい両親の姿を見て「自分も家族の手助けができれば」と、農業高校、農業者大学校に進学し、就農しました。
就農後は、お米作りと並行して直売所組織である『三沢市近郊やさい生産組合』に加わり、農産物を精力的に出荷。「新しいことや、他の人がやっていないようなことに挑戦したい。」と、規格外の野菜や珍しい作物を使った加工品作りにも力を注ぎます。

三沢を代表する特産品であるごぼうを使ったごぼう茶を、「さらに飲みやすく、ごぼうが嫌いな人にも飲んでほしい。」とリンゴの果肉を加えて生まれたのが『ごぼうとりんごの不思議な出会い茶』。また、あまり知られていないマコモダケの効能を調べ「これならお茶として手軽に飲んでもらえる。」と、完全無農薬で生産し、手作業で乾燥・加工し真菰(まこも)茶の販売をスタートさせました。今では品薄になるほどの人気商品です。

「楽しみに直売所に行ってもすでに売り切れになっていた。という声を聞くようになったんです。直売所に持っていくには数に限りがあるけど、もし自分の店に来てもらえたら確実に買ってもらえる。」と、和枝さんは2013年に惣菜店「ベジキッチンまいまい」を開店しました。

IMG_9086IMG_9099


最初に“おいしい”と言って食べてくれたのは4人の妹たち。
   一緒に笑顔の輪を広げていきたい

489A2002

のどかな田園風景の中に佇むログ風の建物。

大きな窓から光が差し込む明るい店内には、お米や野菜、日替り弁当、惣菜がズラリ。
その中でも、「この時期とくに力が入る。」というおにぎりは、『まっしぐら』に自らが作った低アミロース米をブレンドし、時間が経っても固くならないおにぎりに仕上がっています。
お弁当や惣菜も自家製のものを使い、足りない食材は知り合いの農家さんや直売所から仕入れるなどして、地域の生産者とも共生ができる仕組みにしています。

「自分が作ったものをおいしく食べてもらうことが一番の喜び。食べてくれるから、育てるのも作るのも一生懸命になれるんです。」

農業で忙しい両親に代わって、幼少の頃から家事の一切を任され、
「手料理を一番最初に”おいしい”と笑顔で食べてくれたのは妹たち。その妹たちと一緒に笑顔の輪を地域にも広げていきたいんです。」と話す和枝さんの表情はとても穏やかです。

IMG_8572

おいしいの笑顔を広めるために
    ふくらむアイディアと目標

田畑や精米所の切り盛りに、加工、流通、販売までを一貫して手掛ける和枝さん。

「忙しいけど、考えながらそれが形になっていくのが楽しいんです。せっかくだったら楽しみながらやりたいですよね。」

繁忙期の農家のために、少しでも助けになればと、お弁当や総菜を配達する『畑デリ』や『予約弁当』、「店内で食べられるようにしてほしい。」との要望に応えて、イートインスペースを設け、ランチの提供もはじめました。
「将来的には、体験型飲食店として広げていきたい。」と夢は膨らみ続けます。

「でも、私ほとんどお店にいなくて。会いに来てくれたお客様にはほんと申し訳ないんですけどね。」

― おいしい、その笑顔を広めるために
厨房で包丁を振るい手際よく盛り付け、笑顔でお客さんの対応してくれる妹さんたちがそこにはいます。
「こうやって、妹たちと一緒に働けることは幸せなこと。
自然と、みんなが集まって世間話をしたり。そういう憩いの場にしたいですね。」

人と人とを結ぶ農家飯。
「ベジキッチンまいまい」からは、いつもにぎやかな笑い声と、どこかなつかしいぬくもりが感じられます。

489A2013

■編集後記editorial note
プライベートでもよく訪れる「ベジキッチンまいまい」。
店名の“まいまい”は、お米が自慢だということと、ゆっくりでもいいから地元に根付いていきたいとカタツムリに例えて名付けたそうです。お店で迎えてくれる和枝さんの穏やかでおおらかな雰囲気と、やさしい味付けのお弁当やお惣菜。「ベジキッチンまいまい」は、ホッと一息つきたいときに行きたくなる心のよりどころです。

平成26年10月3日 取材 楳内有希子

■三沢人date

IMG_8575佐々木 和枝 (ささきかずえ)さん

農業経営者
三沢市出身。農業者大学卒業後就農。
精米業と並行して、規格外の野菜などを使った加工品の開発、流通、販売までを一貫して行う。2013年12月には販売店「ベジキッチンまいまい」をオープンし、販売に加え「畑デリ」「弁当予約」「ランチ」の提供を始める。




◆うるち精米・うるち玄米

収穫したお米を乾燥、もみすりしてJAに出荷。
「ベジキッチンまいまい」では5kgの精米と玄米を購入することができます。


◆ベジキッチンまいまい

IMG_9953住所: 三沢市大字三沢字鹿中2-58-253
※八戸方面から国道338号を北上し、右手に青い建物「はまなす食堂」がある交差点を左折。道なりに進むと見えるカタツムリのイラストが描かれた看板が目印です。
電話: 0176-58-6171
営業時間:10:00~17:00(ランチ 11:00?13:30L.O)
定休日:日曜・祝日
HP: http://www.misawa-noukameshi.com
facebook:https://www.facebook.com/noukameshi