三沢人『File_No.005_池崎孝太さん】何十年とパン作りをしているが、毎日楽しくてしょうがない

三沢市出身37歳。市内で2店舗を営むパン屋「カフェ マティエール イケザキ」のオーナーとして、
三沢空港初の空弁「MISAWAメンチカツバーガー弁当」を開発する。
池崎孝太

パン職人が生んだ
   三沢のおいしいを伝えるお弁当

MISAWAメンチカツバーガー

12月19日、三沢空港に新たな『空弁』が誕生しました。
名は「MISAWAメンチカツバーガー弁当」。

三沢空港振興会が主催する空弁審査会を経て決まったこのお弁当は、市内でパン屋を営む「カフェ マティエール イケザキ」のオーナー池崎さんが「三沢をアピールしながら、三沢のおいしさを伝えられるお弁当を」と、2ヶ月間試行錯誤を重ねて生み出した逸品です。

メインは三沢のブランド豚であるやまざきポークを使用したメンチカツのハンバーガーで、バンズは冷めてもおいしいようにと絶妙なバランスで配合された生地で作られています。また青森りんごのマドレーヌや地場産長いものジャーマンポテトが添えられるなど、どれ一つとっても池崎さんの職人としてのこだわりをうかがい知ることができます。

489A6593「まずは、パッケージで楽しんでもらって、青森のおいしいものが詰まっている中身で満足してもらいたい。」

その思い通り、初お披露目では、待ちわびた客や関係者からの歓声が三沢空港に響きました。


行きついた先のパン作り
   探求とともに込めた感謝

「新しいものを生み出すのが好きで、コンテストに出品するのも好き。」

今回の応募に、久しぶりに血がたぎったという池崎さん。
料理に興味を持ったのは中学生の頃だと言います。
「当時流行っていた料理の鉄人というテレビ番組が好きで、シェフのまねごとをして家族にフルコースを作ってあげたんです。所詮、子どもの憧れで作ったものなので、決しておいしいとは言えなかったと思いますが、すごく喜んでくれて。家族が笑ってくれている光景を見て、これだ!と思ったんです。」

このことがきっかけで、進むべき道を確信した池崎さんは、高校卒業後すぐに八戸市内のホテルに就職。主に婚礼などのデザートを担当しながら腕を磨き2年ほど経ったころ、はじめて会合用の焼き菓子を任されます。
「焼き菓子で、1つのものに手間をかけて作るおもしろさを知ったんです。どうしたらもっとたくさんの焼き菓子を作れるだろうかと考えて出た答えが、パン屋だったんです。」

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地元のパン屋に転職した池崎さんは、初めてのパン作りも持ち前の負けん気と努力で地道にパン職人としての道を歩んでいきます。しかし、その道は決して平たんなものではありませんでした。さらに腕を磨くため、店長として配属された札幌の地で悲劇が訪れます。

「失意のどん底に落とされましたね・・・癌と診断されたんです。それもレベル5。」

まだ27歳。

「まさか自分が、もうダメかもしれない。そう思ったときに思い浮かんだのは、今まで優しく接してくれた人や地元の人たちへの感謝だったんです。」

― 地元で自分の店を構え、焼きたてのパンをたくさんの人に食べてほしい

その強い思いの元、
2年間の闘病生活を乗り越えた池崎さんは、生まれ育った三沢の地で「カフェ マティエール イケザキ」をオープンさせました。

このパンに、この人あり。

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次々と焼き上げられるパンのやさしい香りが漂う店内。

「自分の子どもに食べさせたいと思うパン作りをしています。夏場だと3,4日でカビが生えてしまうけど、それでも自然のままのパンを食べてほしいから。」
と、小麦にこだわり、保存料や添加物を一切使わずに、ひとつひとつ丁寧に捏ね上げていきます。

「生地にいかにストレスをかけないようにするかというのがパン職人としての勝負どころです。人と同じように毎日機嫌が違うので、毎日パンのことばかり考えています。」

職人ならではのゆずれないこだわりを持ちながら、パンと向き合い、導き出す。

日々進化し続ける池崎さんのパンは、子どもからおじいちゃん、おばあちゃんまで幅広い年代の人たちに愛されています。

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パンの世界に足を踏み入れ、10年と言う修業を経て、生まれ育った三沢の地に自らのお店をオープンさせた池崎さん。

「パン生地をまるめる作業をまず最初に教えてもらうんですが、子どもでも2日ぐらいでできてしまうのを、自分は1ヶ月くらいかかって。でも出来た時のうれしさはひとしおなんですよね。だからこそパン作りをやめないんだと思います。」

自らを「スーパー不器用」と表現し、その経験を子どもたちに伝える活動にも積極的に力を注いでいます。

「パン作りはいつも同じことをしているようで、毎日違います。その日その日でうれしい瞬間がある。どんなにパンを作ったって飽きることはない。毎日楽しくてしょうがないんです。
そんな人生を子どもたちに送ってほしいですね。」

― これだと思ったことは、極めるまでやる

メインのハンバーガーに添えられた『焼き菓子』。
その精神は、「MISAWAメンチカツバーガー弁当」にもしっかりと刻み込まれていました。

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「空弁はこれまでの集大成」

これまでも、これからも現役修行中。
自らの魂を注いでパンを焼き続ける池崎さん。その進化は、いつまでも空高く飛び続けます。

■編集後記editorial note
焼きたてパンのやさしい香りに包まれる「カフェ マティエール イケザキ」。
レジに立つ奥様とは、高校時代に出会い初恋でのゴールイン。池崎さんの言葉を借りれば、パン作りに加えて「女性も一途!」なんだとか。奥様の優しい笑顔と語り口に、ついつい長居をしてしまうぬくもりたっぷりのパン屋さん。小麦の味がしっかりと感じられるオーナーこだわりのパン、一度食べたらやみつきです。

平成26年12月4日 取材 楳内有希子

■三沢人date

池崎孝太さん池崎 孝太 (いけざき こうた)さん

三沢市内で2店舗を営むパン屋「カフェ マティエール イケザキ」のオーナーで、三沢空港初の空弁「MISAWAメンチカツバーガー」を開発する。
素材にこだわり、保存料や添加物を一切使用せずに焼き上げられるパンは、地元の人に広く親しまれている。


◆MISAWAメンチカツバーガー弁当

こだわり素材のパンと、ブランド豚「やまざきポーク」で作ったメンチカツバーガー。

販売場所:
 三沢空港 2階売店 スカイマートビードル

商品紹介:
 ファーストクラスサイズ 850円
 ・やまざきポークのメンチカツバーガー
  (ソース)
 ・やまざきポークのメンチカツバーガー
  (ソース&チーズ)
 ・地場産長いものジャーマンポテト
 ・彩り野菜のチーズタルト
 ・青森りんごのマドレーヌ

 エコノミークラスサイズ 600円
 ・やまざきポークのメンチカツバーガー
  (ソース)
 ・青森りんごのマドレーヌ


◆cafe matiere IKEZAKI ~ カフェ マティエール イケザキ

カフェマティエールイケザキ スカイプラザ店スカイプラザ店
 住所: 三沢市中央町2-8-34
 電話: 0176-51-6885
 営業時間: 10:00~19:00
 定休日: 水曜日(年に数回当店で定める日)

パンの他にスープやサンドイッチなどのランチメニューも。ドリンク類も充実しています。


カフェマティエールイケザキ ビードルプラザ店ビードルプラザ店
 住所: 三沢市松園町3-10-1
 電話: 0176-52-6535
 営業時間: 10:00~20:00
 定休日: 年中無休

店頭にはオーナーこだわりの焼きたてパンが毎日数十種類並んでいます。