- 三沢市在住31歳。市内で居酒屋を営む株式会社和がやのオーナー。
6月に2店舗目となる活魚センターをオープンし“三沢の旨い”を提供している。 - 木村 博幸
意外と知られていない豊富な三沢の魚
地元の人にこそ食べてほしい
「いらっしゃい」
飲食店が軒を連ねる三沢市中央町の一角に大きく掲げられた「みさ和」の文字。
扉を開けると同時に、威勢のいい声と笑顔で迎えてくれるのはオーナーの木村博幸さんです。
木村さんは地元有志や仲間とともに空き店舗を全面改装し、「三沢を盛り上げよう」との強い思いのもと、準備から1ヶ月という異例の早さで「みさ和活魚センター」をオープンさせました。
「三沢であがった新鮮で豊富な魚を、地元の人にこそ食べてもらう機会を増やしたかった。」
その言葉通り、店内に入るとヒラメやカレイ、ほや、カニなど新鮮な魚介類が生きたまま入った大きな水槽が一際目をひきます。その奥には三沢漁港をメインに水揚げされた種類豊富な鮮魚、さらに鰆(さわら)や時不知(ときしらず)の西京漬けなどオープンに合わせて開発したブランド「粋」シリーズが並び、レジ前には地元の食材で作られた惣菜や弁当も販売されています。
漁港のある街「三沢」
獲れたての魚がいつも身近にあった
これらの豊富な鮮魚類は、切り身や刺身にしてもらうことができるのもうれしいサービスの一つ。ウロコを落とし、内臓を取り、三枚におろして皮を剥ぎ、あっという間に刺身にしてしまう木村さんの巧みな包丁さばきは思わず舌を巻くほど見事なものです。
それもそのはず。木村さんがはじめて魚をさばいたのは中学生の頃。
「近所のお寿司屋さんで魚の下処理の仕方を教えてもらっていました。その頃すでに北寄貝もさばけるぐらいだったから、学校の家庭科の授業ではよく褒められていて、それがうれしかったんですね。食べることも好きで料理も好き、とにかく楽しかった。」と、当時を振り返る木村さん。
―これが料理人としての原点です。
「小さい頃は、まわりに魚や和食を扱っている人がたくさんいたし、三沢漁港でよく釣りもしていた。とにかく魚に触れる機会が多くて、いつの間にか自然と料理ができるようになっていましたね。」
ここから木村さんは料理の道を一直線に進んでいきます。
高校卒業後、専門学校で調理師免許を取得。八戸の飲食店で修業を積んだ後三沢に戻り、2007年に24歳という若さで“居酒屋「和がや」”をオープンさせました。
本物を提供する、それは“旨い”で“三沢”を売りたいから
「和がや」は新鮮な魚介類と素材を活かした料理が自慢の居酒屋です。
「量や安さで勝負したりおもしろさで売ったりしているところもあるけど、うちはそうじゃなくて。それなりの料金で提供している。例えばイカ刺しは1,200円で高いと思うかもしれないけど、本当に新鮮でおいしいイカを食べてほしいから、生きているイカを使っている。苦労することもあるけどこのこだわりは捨てずに、わかってもらえるお客さんに食べてほしいんです。」
と、扱う食材は漁港へ何度も足を運び、獲れたてのものを厳選して仕入れていると言います。
「お客さんは、うちでいいものを食べたいと来てくれる。その気持ちを裏切りたくない。」
そう話す木村さんが、いつも従業員に言っていることは、『料理だけは負けるな』ということ。
「お客さんが帰るときに必ずお見送りをするんですけど、またお待ちしていますと声をかけると、“おっ”と手を挙げて返してくれたりする。絶対にまた来てくれるなと確信できた時はうれしいですね。」
三沢の食材を味わってほしい。
そのおいしさを感じてほしい。
そして、“旨い”で三沢を好きになってほしい。
自分たちが提供する料理こそが三沢の味になる。
食材の旨さを引き出し生まれる料理は、その一心で作られています。
居酒屋「和がや」に続き2店舗目となる「みさ和活魚センター」をオープンさせ、エネルギーにあふれている木村さん。
「もう少し落ち着いていればいいんでしょうけどね。でもやんなきゃいけない。止まりたくない、つっぱしっていたいんです。」
実は、すでに次の構想もあるんだとか。
「ここで生まれて、育って、仲間がいて、よく遊んでいた公園があって。思い出が身近にあることでがんばれるんですよね。」と、ふるさとに感謝しながら、新たな挑戦に想いを馳せました。
三沢で料理一筋。
その道は、同じ思いを持った仲間とともにこれからもつながれていきます。
- ■編集後記editorial note
- みさ和活魚センターがオープンしてから、ランチの惣菜や夕食のおかずを仕入れるのが楽しみで、もう4.5回はお店を訪れています。行くたびに、「今日は三沢で採れたマグロがあるよ。」など声をかけてくれる木村さん。
インタビューの最後に聞いた「三沢、好きですか?」との質問に、「はい、いっぱい好きです。」と少し照れながら、やさしく応えてくれる姿が印象的でした。三沢の新鮮で豊富な魚、しばらく食卓に並びそうです。
平成26年6月23日 取材 楳内有希子
■三沢人date
木村 博幸 (きむら ひろゆき)さん
三沢市内で居酒屋を営む株式会社和がやの代表取締役。
地元三沢市の漁港で採れた鮮魚を漁師から直送し、美味しさを引き出す調理法でもてなす。2店舗目となる鮮魚店をオープンさせ“旨い”で三沢を盛り上げようと奮闘中。
◆みさ和 活魚センター
住所: 三沢市中央町1-6-16
電話: 0176-27-6961
営業時間: 10:00~21:00
定休日: なし
HP: http://misawa-katsugyo.jp
◆居酒屋 和がや
住所: 三沢市中央町1丁目6番地17号
電話: 0176-50-1558
営業時間: 17:00~24:00
定休日: 毎週日曜日
HP: http://www.misawa-wagaya.jp